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SHIBUYAでIPOを目指すCEOのBLOG

上場企業の財務分析を行います。

AbemaTVの目指す売上高は300億円?DAU400万、平均視聴時間25分が到達目標か。

大躍進のAbemaTV。投資回収を行うために目標としているKPIは?

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 サイバーエージェント肝いりの新サービス「AbemaTV」がリリースされてから約1年経った。サイバーエージェント藤田社長はインタビューで「無理な黒字化は事業がおかしくなる」と語っており、現在黒字化に関する議論はあまりされていない。*1しかし、AbemaTVはこの1年でアプリダウンロード数、MAU、WAUともに順調に成長しており、2017年後半〜2018年に投資回収を始めると考えられる。そこで、当記事ではAbemaTV黒字化に向けた達成目標と考えられるKPIを推定する。

AbemaTVの投資イメージ

 「2017年9月期2Q決算説明資料」を参照すると、AbemaTVの投資金額及び内訳は以下の通りであった。

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 AbemaTVへの投資額は200億円/年であり、2017年度はその70%がコンテンツ費用に割かれていた。こうしたAbemaTVの人気コンテンツは「(放映権を購入しているであろう)アニメコンテンツ」や「バラエティ番組」であり、ストックされる性質を持つものではなく、2018年度以降も継続するものと考えられるだろう。(来年になり、「あれ、AbemaTVのコンテンツが劣化してない?」と感じ取られたら、ユーザーは一気に離れてしまう可能性が高い。)

 実際、ビデオストリーミングの巨匠netflixは2016年に5,600億円を投資そ、2017年には6,800億円の投資を予定しており*2、それと比較してもAbemaTVの投資額も突出して多額とは言えないのである。

 さて、同決算説明資料ではWAU1,000万人到達がAbemaTVの投資回収タイミングと言及されている。現状、WAUは400万人台後半を記録しているが、順調に成長しており、2018年度には投資回収期に移ると推定できよう。変化の早いインターネット業界を考えるに、こうした300億円の投資回収まで10年以上かかるビジネスモデルは考えにくく、投資回収に必要な期間は長くても3年程度と想定していると考えられる。ここから逆算すると、2018年度は売上高300億円、支出200億円、営業利益率33%のビジネスモデルに成長させることを目標と置いていると推定できる。

AbemaTVの売上 

 さて、AbemaTVの売上 は大きく分けて「広告課金」「プレミアム会員(ユーザー課金)」に分けられる。f:id:tarisaa:20170503163800p:plain

 

 AbemaTVは「インターネット上のテレビ局」という立ち位置を模索していることからも明らかなように、「広告課金」が主軸となるビジネスモデルをである。まず、補助的なプレミアム会員(ユーザー課金)」の売上を推定する。プレミアム会員の目標数は100万ユーザーと置かれており、その時の売上は100万ユーザー×960円×12ヶ月×0.7(Apple/Googleの決済手数料30%を引いた額)=80.64億円となる。

  1,000万WAUに対して課金率10%は相当強気な数字と考えられるが、競合動画配信サービスの月額有料会員率は5-10%ほどだと推定されており*3、有料コンテンツを拡充すれば10%も無理のない目標だろう。

 さて、売上目標300億円からプレミアム会員による収益81億円を引いた残りの219億円が広告による売上目標となる。これを毎日の売上目標に割り戻すと、219億円/365日=6000万円/日の売上と計算できる。

 AbemaTVのDAUはWAUの半分弱と述べられており*4、ここでは40%と推定すると、400万ユーザーがDAUと仮定できる。

 ここで、日別の売上目標値をDAUで割ると、 6000万円 / 400万ユーザー = 15円/ユーザー・日 となり、ユーザー1人あたりの広告収益が15円であれば目標売上が達成できることになる。ここで、CMのインプレッション単価を、15秒=1円と仮定する。ユーザー1人あたりの広告収益が15円を達成するためには15秒CMを15回視聴させる必要があり、これはCM視聴時間3.75分程度に相当する。TVCMの場合、番組の長さにおけるCM比率は約15%*5とされており、体感になるがAbemaTVも同じくらいの比率でCMが差し込まれているだろう。そのため、AbemaTV全体の視聴時間としては、3.75分/15%/=25分の視聴が目標の目安となるだろう。

 この値は20代〜30代のテレビの平均視聴時間が2時間程度であり、*6 PokemonGoの平均プレイ時間が33分、Facebookが22分であることからも、*7 十分は達成しうる妥当なラインだと言えるだろう。

営業利益率33%は達成できるのだろうか?

 当記事では「投資回収まで3年」という推定から、営業利益率33%という仮定を置いた。ここで、日本のテレビ業界・Netflixの利益率を参照してみよう。

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 以上から分かる通り、Netflix・テレビ局は以上に示すように利益率が非常に低い業界なのである。ちなみに、この利益率の低さは、売上の60-70%をコンテンツ制作費に投資しており、原価率が非常に高いことによる。

 そのため、AbemaTVが営業利益率33%が達成できれば、実はAbemaは相当な金脈を見つけたということになる。しかし、WAU1,000万人、DAU400万人、平均視聴時間25分というKPIは競合他社としても十分達成できる水準だと言えるのではないだろうか。

 AbemaTVの見どころは、投資回収期である2017年下半期〜2018年。今後のサイバーエージェントの成長に期待したい。