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ZOZOTOWNが炎上しても、「ツケ払い」は絶対やめない。

ZOZOTOWN「ツケ払い」はいくら炎上してもやめる訳がない。

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  ZOZOTOWNの「ツケ払い」が4月中旬からプチ炎上中である。SNSを中心に「ほんの54,000円の支払いを先送りにせざるを得ない貧困層をターゲットにした悪どい商法である。」「"ツケ払い"という名称が"ローン"を想起させるものではなく、若年層が知らず知らずのうちに負債を抱えてしまう可能性がある。」というような論調である。

 実際、ZOZOTOWNのサイトを見ると「ツケ払いできます」という表記が大きく記載されており、「とりあえずお金の心配は先送りにして買ってしまうか」という心理がうまく刺激されてしまうのだろう。

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 こうしたインターネット上で炎上した案件対処としては、いち早く非を認めて謝罪し、サービスを取りやめることが一般的だと言えよう。

 さて、ZOZOTOWNも同様に「ツケ払い」制度を謝罪のうえ、取り止めるだろうか?私はこの1年間のZOZOTOWNの売上・利益の伸びを考えたらやめる選択肢はあり得ないと考えている。今回は、ZOZOTOWNの売上・利益額の推移を紐解きながらこの問題を考察する。

ZOZOTOWN「ツケ払い」制度とは?

 ZOZOTOWNのツケ払い制度とは、手数料324円で最大2ヶ月間、54,000円迄の支払いを猶予できる「後払いサービス」である。クレジットカードを持たない若年層をターゲットに当てていると考えられ、2016年10月からサービスを開始している。さらに、2月から吉岡 里帆を起用したCMを展開している。

 なお、「後払いサービス」を提供しているのは「GMOペイメントゲートウェイ」である。*1貸し倒れが発生しても、リスクはGMO側で担保され、ZOZOTOWN側の手数料としてもクレジットカードの手数料とさほど変わらないだろう。

ZOZOTOWNの株価の推移

  さて、つけ払いがインターネット上でプチ炎上し始めたのは4月の中旬ごろからである。ZOZOTOWN運営のスタートトゥディの株価を参照すると、4月の上旬からジリジリと株価を落としており、ネット炎上の影響を受けて売りに走っている可能性がある。

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 ここから、株主の利益確保のため、謝罪の上「ツケ払い」を中止することも有り得るだろうか?

 しかし、株価の1年間の推移を見てみよう。

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 ここから見るに、2017年1月下旬に大きく株価を上げている。詳しく時期を調べると、1/31に株価が急上昇したようだ。2017年1月31日には同社の第3四半期決算発表がされていた。

 そこで、第3四半期決算発表資料を参照すると、商品取扱高1,480億円(前年比32.3%増加)、営業利益192億円(前年比64.3%増加)と記載されており、同社の過去の伸びと比較しても、高い成長率を見せている。 *2

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  2017年度3Q現在の成長率は13.0%であり、過去6年間で最大の伸び率である。この要因について、同社は以下のように分析している。

2016年11月には支払い期限を注文日から2ヶ月後とする後払い決済サービス「ツケ払い」を導入したことも当第3四半期会計期間の商品取扱高拡大に寄与することとなりました。ただし、一時的には「ツケ払い」導入によって商品取扱高の拡大が生じているものの、中長期的な商品取扱高拡大への効果については、サービス導入から間もない現時点では算出することが難しい状況です。

直近の決算概況 - 株式会社スタートトゥデイ

 つまり、このような利益の伸びに寄与した要因の一つに「つけ払い」という決済方法があると認識しているのである。同社にとって、この決済手法は大きなインパクトだったのだろう。

 確かに同決算概況でも指摘されている通り、「後払い」制度は単なる需要の先食いという見方もでき、中長期的な商品取扱高拡大への効果を検証するには1〜2年間の期間が必要となる。

 しかし、第三四半期のリリース、およびこのリリース後の「後払い」にフォーカスしたテレビCMを打ち始めていることから考えるに、同社の利益額の増大に大きく影響があったことは想像に難くない。

「ツケ払い」の今後

 後払い決済市場は2010年~2014年に年平均40.4%で成長、2020年には市場規模が5,500億円規模に達するとの予想がある成長市場である。*3かつてGMOペイメントゲートウェイが出資していた「後払い」に強い決済会社のネットプロテクションズも業績を大きく伸ばしている。

 そこから考えると、今回の炎上は成長痛のようなものではないだろうか?ZOZOTOWNの利益率の大幅の増大、及び市場からの注目度を考えると、このままノータッチで見守るのが得策かもしれない。長い目で見れば、「ツケ払い」に対する違和感も払拭されるだろう。

 ユナイテッド航空の事件の記憶も新しく、インターネット上の「炎上」には敏感になる必要はありそうだが、今回の炎上案件は冷静に見守ったほうが良さそうだ。