SHIBUYAでIPOを目指すCEOのBLOG

上場企業の財務分析を行います。

上場時初値、公募価格の363.7%!炎上対策の「エルテス」とは!?

上場時初値、公募価格の363.7%!エルテスのビジネスモデル

 エルテスはネット風評被害対策を行うためのモニタリングサービスやコンサルティングサービスを提供するベンチャー企業である。2016年11月29日にマザーズに上場したが、公募1,790円に対して初値6,510円と、なんと363.7%の価格がついた。

 エルテスのビジネスモデルは、ネット風評被害対策を行うため、120メディア以上を常時監視する「モニタリングサービス」、そして危機が発生した場合の「コンサルティングサービス」の2つである。

 モニタリングサービスの概要は以下の通りである。

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 上記資料を見る限り、モニタリングサービスは4時間に1回程度クローラーがメディアを巡回し、危機的なキーワードを含む投稿が無いか確認しているものと推察できる。

 導入クライアント数だが、公式サイトには300以上の企業で導入*1という記述があった。導入企業数を少なめに300企業であると仮定すると、1企業あたりの平均売上高は2,206(千円)ということになる。

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 これを月額費として割り出すと、184(千円)/月程度の価格感となる。割高感は否めないが、同社のIR資料を読むと、売上の内訳として30.2%がモニタリングサービス、68.0%がコンサルティングサービス、1.8%がその他と示されていた。そのため、月額55.6(千円)程度が定額のモニタリングサービス費用であり、なにか危機が発生した場合はクライシスコンサルティングを行うという流れになっていると推察できよう。月額5〜6万円でサイト監視・レポーティングという価格感であれば、「炎上保険料」としては妥当ではないだろうか。

競合と比較

 さて、エルテスの競合企業を参照するため、同様にクライシスコンサルティングを行う「イー・ガーディアン」「ホットリンク」社の有価証券報告書を比較する。

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 イー・ガーディアンは炎上対策のリーディングカンパニーである。同社の基本は専門のオペレーターによる有人監視サービスであり、大規模サイトを中心に約3000万件程度月間の監視投稿数を誇る。もちろん、人の目による監視には限界があるので、学習型AI機能搭載の投稿監視システム「E-Trident」なども持つようだ。

 ホットリンク社は、ソーシャルモニタリングツール「e-mining(イーマイニング)」を提供・運用している。このツールでは約2000メディアを網羅して、SNS上での風評被害や誹謗中傷、情報漏洩などをいち早く検知できるようだ。

 ホットリンク社は昨年度赤字であったものの、イー・ガーディアン社のサービスと比較すると、売上規模・利益規模ともにエルテスの強みを感じることはできない。このデータからは、市場から評価されすぎている印象を持つ。

IPOによる吸収価格は4億円と小粒だが、営業戦略上は効果的か?

 エルテスの上場時の吸収金額は4億円、公募価格での時価総額は38億円とかなり小粒な銘柄である。今回のIPOの初値の高騰は、吸収金額の少なさによるプレミア感によるものが大きいのではないか。

 ところで、2017年現在の調達環境を考えると、エルテスの吸収額であればVCからの第三者割当増資でも十分対応できる。低いバリュエーションでの上場は、内部管理体制強化・株主総会運営等に割くべきコストの割合が大きくなってしまうため、IPOによるデメリットも目立つ。

 しかし、メリットとしてIPOによって社会的信用度が高まることは捨てがたい。B2Bで営業する上で社会的信用度は大きな要素であると考えられるため、イー・ガーディアンやホットリンクからシェアを奪うにはIPOが必要条件なのだろう。実際、エルテスは上場前から(株)産業革新機構、(株)電通、(株)NTTドコモベンチャーなどが株主に入っており、会社の安心感を演出を演出していうと思われる。

まとめ

 エルテスのようなB2B企業には営業戦略の一貫としてIPOは有効と考えられる。しかし、エルテスのビジネスモデルや利益率等に大きな強みを見出すことはできず、市場からは評価され過ぎでは?という印象を受けた。